会長からのご挨拶

静岡化学工学懇話会
   会長(平成30、31年度) 金原和秀(静岡大学)

平成30・31年度の会長を仰せつかりました金原です。本会のこれまでの活発な活動を継承し、次世代につなげるという重責を感じています。静岡大学に赴任して9年目になります。この間、学科の名前が物質工学科から化学バイオ工学科となり、化学工学分野の研究室は、環境応用化学コースとバイオ応用工学コースの両コースに分散することになりました。

金原自身は、修士課程まで化学工学コースでしたが、博士課程からは農学部で微生物による環境汚染物質の分解に関する研究をしていました。3年前に定年退職された須藤先生の大学の後輩かつ移動現象論を専門としていた平田彰教授の研究室出身であったことから、「金原君は平田研出身だから移動現象論できるよね」と須藤先生に言われて、移動現象論の講義を4年間担当しました。修士を出てからバイオ一色だったので、前の講義担当だった現在大阪大学教授の岡野先生(平田研究室の1年後輩で移動現象論の専門家)に資料一式を送ってもらい、四苦八苦して思い出しながら講義を行いました。その経験から、化学工学という実学は、会社に入ってから如何に役立つかということを再認識しました。最先端の研究は細分化し、化学工学という学問は多岐にわたるようになりました。そのため、化学工学科という学科はほとんどなく、化学システム工学科や化学・バイオ工学科などの名前に代わり、化学工学という名称は大学院の専攻やコースとして名前を残すのみとなりました。

しかし、社会実装が重要であるとされている今、化学工学は非常に重要な教育分野となっています。特に、2016年に内閣府が提出した第5期科学技術基本計画では、未来の産業構造と社会変革に向けて、「超スマート社会の実現」、「イノベーションの基盤強化と推進強化」、「オープンイノベーションの推進」を遂行するとしています。これらの提言は、世界的競争力が低下している現状を打破して、イノベーションの成果を社会実装するという強い意気込みを表したものです。化学工学は、社会実装するときにまさに必要な学問です。

静岡化学工学懇話会は、今年設立26年目を迎えます。企業の工場や研究所の見学会とセットになった講演会や、企業の皆様の技術交流会など、静岡の地域産業に携わる会員の皆様との地道な活動を通して、地域産業の発展に貢献していると自負しています。イノベーションの社会実装の波は地方にも押し寄せています。その流れを発展させて地域産業を盛り上げるには、若い会員の皆様の活動への参加が不可欠です。会員の皆様のご協力とご支援を今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。