ご挨拶

静岡化学工学懇話会
   会長(平成20,21年度) 飯塚 弘
(矢崎総業株式会社 技術研究所)

 

 昨年10月2日に『クルマの未来 −環境・安全・安心−』と題し、第16回静岡フォーラムを開催致しましたが、その朝の新聞に米国での自動車販売台数の減少が掲載され、自動車の将来動向に関する講演会を前にいやな印象を持ったのを覚えています。その時は、それが現在の世界同時不況の前兆だとは思いも及びませんでした。小泉構造改革による経済のグローバル化、新自由主義、規制緩和の推進により、すべてを市場まかせにしてきたツケが、経済、社会の荒廃を招いたと取りざたされる昨今です。効率や能率の向上を追求し過ぎると、各国、各民族、各地方の個性、あるいは文化や伝統が失われてしまうのも確かです。グローバリズムも大事かも知れないが、同時にローカリズムをもう一度考える機会なのかも知れません。静岡県は都道府県別製造品出荷額では、愛知県、神奈川県についで第3のものづくり県で、企業立地件数では首位を維持し、ものづくりの最適地になっております。そんな中で、静岡県ならではの産業の推進と、静岡県を母体とする懇話会が何か役に立つのではないかと思います。

 さて、昨年12月に新公益法人制度が施行され、化学工学会も公益法人に認定されるよう準備を進めており、連結決算の対象である東海支部、静岡化学工学懇話会もその対応を余儀なくされています。特に問題になるのは事業費等に占める内部留保の割合と、新たな会計基準の特定費用準備金です。これも会員皆様のご協力により今年度から対応していきたいと思います。

 昨年、静岡県立大学の先生方のご尽力により企業技術交流会を成功裡に行うことができました。従来の産官学の交流に加え、今回学生に参画企業を知ってもらおうという新たな試みを行いました。また、参画された企業の方には口頭発表だけでなく、ポスター・実物展示といつもと違った試みを行い、その分ご負担を掛けたと思います。これが会員企業同士の交流のきっかけ、学生の就職活動の一助になればと期待するところです。先日ある会合で懇話会に入会して、参加した他の会社との連携のきっかけに繋がったと聞き、大変うれしく思いました。

 この世界同時不況も底を味わっていますが、否定的なことばかり言ってはいられません。今を耐え次の飛躍の為の準備の充電時間と考えたいと思います。こういう時こそ、技術のブラッシュアップ、地域の産官学のネットワークの促進など足下を固めることが重要だと思います。懇話会がその一助になればと思います。企業にとり苦しい時は懇話会も苦しい時ですので、一層の会員皆様のご支援・ご協力をお願い申し上げます。




Topへもどる