- 静岡大学 工学部
- 物質工学科 プロセス工学講座
- 竹下武成
■研究テ−マ
- 環境改善に向け、集塵とプラスチックのリサイクルに関し、分離操作を主にした基礎研究を行っている。また粉粒体の挙動に対し、剛要素法を用いたコンピュータシミュレ−ションを行っている。現在進行中のテ−マは以下の通りで
る。
- 廃プラスチック類のリサイクルに関する研究
- 回分式静電装置による分別・回収の基礎実験
現在、シート状プラスチック粒子の分別・回収を行っている。原理は二つの物体を摩擦すると一方がプラスに他方がマイナスに帯電する。
これを色々なプラスチックについて行い帯電列をつくれば、電極を用いて成分別に分離可能となる。摩擦帯電させるのに流動層を用いている
が、シート状プラスチック粒子はそれ自身では流動化し難いので帯電列において
分離するプラスチックの中間の流動媒体を使って流動化させている。分離性能の結果は100%ではないので、これを目指して研究中である。
- 連続式静電装置の開発
回分式の最適操作条件のデータに基づいて、連続式の静電分離装置を制作し、実験研究を行っている。現在までの結果では、分離性能に
おいてわずかであるが回分式に比べて劣っている。流動媒体のリサイクル化と除電システムの確立を課題として検討中である。
- ファラデーゲージ法による静電気電荷量の測定
上記の研究に対して、少しでも定量的な考察をするために始めた研究であるが、流動層で摩擦帯電させた物体の電荷量をファラデーゲージ
を用いて測定する方法で、回分式静電分離装置の結果を一部うまく説明できるデータが得られている。従って、摩擦帯電を伴うような
研究に対して用いることが出来るものと考えている。
- 粉粒体層集塵装置に関する解析
- 固定層集塵装置の集塵性能に関する解析
固定層集塵装置において長時間集塵を行うと集塵効率が低下し、その原因が堆積ダストの再飛散にあることは一般的に言われている。
本研究でも集塵装置の性能実験を行い集塵効率の低下を確認したが、再飛散現象がどのような形で起こっているのか、あるいは
再飛散によってのみ集塵効率が低下が起こっているのか、未だ十分な説明がなされていない。そこで現在、一個の濾材粒子あるいは
三個の濾材粒子上に堆積するダストの様子をデジタルマイクロスコープで観察撮影して再飛散現象などを解析している。
- 移動層集塵装置の集塵性能に関する解析
今まで並流型の装置について性能実験を行ってきたが,現在は行われていない。固定層の解析が終わってから、それらを参考にして
実験を再開を考えている。
- 離散型剛要素法を用いたシミュレーション
- 容器内の粉粒体層圧力分布の解析
容器内の粉粒体圧力分布に関しては離散型剛要素法に限らず、色々な方法で理論計算されているが、底圧が容器底部中央付近で低く
なるという分布が得られることについては説明がされていない。これを離散型剛要素法で説明することを試みている。また異径粒子
による容器内の偏析現象についても解析を行っている。(休止中)
- 振動運動を伴う容器内の粒子運動の解析
粒子を充填して容器に振動をかけた場合の大小粒子あるいは異なった密度に対する偏析現象について実験も行い、この方法による
解析を試みている
- 粒子太管現象に対する解析
二重管容器に振動をかけると充填されていた粉粒体に内管と外管で高さの差がでることを太管現象と呼び、このメカニズムについては
明らかにされていない。DEM法を用いてこの現象を解析することを試みている。
■キ−ワ−ド
- 固定層、移動層、集塵効率、廃棄物、帯電列、プラスチック、剛要素法、数値計算
■主な研究設備・装置
粉粒体層集塵装置、静電分離装置