会長からのご挨拶

静岡化学工学懇話会
   会長(令和6年度) 菅 公一

会長職は2期(2年)を基本としておりますが、今期も引き続き務めさせていただく予定でおります。皆様のご協力をよろしくお願いします。

静岡化学工学懇話会は、化学工学会東海支部と連動した形で平成4年(1992年) に静岡県地区での産官学の交流の促進と活性化を目的に発足しました。発足以来、化学分野の業種に限らず、機械、電気、材料、エネルギー、環境、食品、情報など広範囲の分野と交流して
おります。

日本を取り巻く情勢としては、日本銀行が世界最後のマイナス金利政策から脱却する一方、海外の主要中央銀行が利下げに向かうことで、今後はさらに円高が進むと市場関係者は予想しております。自動車関連を含む輸出企業は好景気に沸いており大手から始まった賃上げも中小企業へ移行が進んでいるところです。円安の進行は心配な点ではありますが、国内生産増強に合わせて設備投資が進めば化学工学に関わる方々の活躍出来る場も広がるのではないかと期待しております。

化学工学との関わりがあるエレクトロニクス分野の中にロボットがあります。国内においては人口減少対応として省力化が積極的に進められております。飲食店における搬送ロボットの導入及び進化には感心するところであります。残念ながら搬送ロボットとの会話は出来ませんが、自然な会話が可能となるまで時間がかからないと思われます。そこは楽しみな分野ではあります。ロボット以外に、生活に欠かせないテレビ、パソコン、携帯電話などに使用される半導体、さらに燃料電池、素材、エネルギーの生産プロセスや工場のシステム開発など、製品のすべてに化学工学が関わっています。化学工学の世界はまだまだ広がる余地があると思います。

令和6年(2024年)正月は石川県能登地方を中心とする大地震で始まりました。被災された皆様に謹んでお見舞いを申し上げます。 自然災害の前では人は無力です。 だからこそ少しずつではありますが出来ることの積み重ねが大切で、県や国任せではなく個々の力の結集が重要になってきております。もう一度、私どもに何が出来るかを考える良い機会だと思っております。

最後に、昨年と同じになりますが日本では八百万の神の信仰思想から、物にも神が宿るといいます。そこには長い時間磨き上げた技術を持つ職人の手を介した各製品についてさまざまな伝承をしてきた歴史があります。それらは高いレベルで多くの人々の手を介した工業製品につながり、数多くの奇跡を見せてくれました。化学工業界においてもより多くのエンジニアの技術と思いを載せて前進してくれると信じております。その輝かしい化学工学の未来に向かって