会長からのご挨拶

静岡化学工学懇話会
   会長(令和2・3年度) 松本 豊

令和2・3年度の会長を仰せつかりました松本です。長年、静岡県工業技術研究所に勤務していました。現在は、公益財団法人 静岡産業振興協会 静岡市産学交流センターにて産学連携コーディネーターを主業としています。本会のこれまでの活発な活動を継承し、次世代に繋げるという重責をひしひしと感じています。また、新型コロナウィルスの影響が早期に収束し、さらに終息に向かうことを願う中での、厳しい船出となりました。皆様の多大なる支援なしでは、この難しい局面を乗り越えることはできません。ぜひとも、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

静岡化学工学懇話会は、平成4年に発足し、本年度で28年目にあたる実績を積み重ねてまいりました。一つの組織や技術が定着するのには四半世紀が必要とされます。その意味では、本懇話会は名実ともに大人に成長したと考えてもよいでしょう。思えば、立ち上げ時に発起人の一人として、協力させていただいた記憶があります。それ以来の長いお付き合いになりました。ただ、“化学工学”と言っても、なかなか一般の方の理解を得るには難しいところもあります。そのようなときには、次のように説明しています。身近なところにある単位操作技術として、たとえば、混合、撹拌、粉砕、乾燥、溶解、合成、吸着、吸収、蒸留、抽出、固液分離、膜分離、濾過、沈殿、濃縮などは全て化学工学に属する技術です。また、これらの技術に該当する様々な装置が開発されており、対象物ごとに温度や圧力などの反応を制御し、最適化を要求されることになります。そのための、プロセス制御・エンジニアリング手法であって、いつでも歩留り・コストに直結することになるため、大変重要な工学・技術です。

さて、この大切な化学工学技術を、今後どのように発展させていったらよいでしょうか。一つには、ITを基軸とし、 AIやIoT技術と関連させた高度なシステム制御を図ることで、最大限の効率を引き出すことにあるでしょう。また一方では、大震災や防災時、感染症などの想定外の状況時にどう対応するか、最適なシナリオを作成しておくことも大事です。さらに、持続可能性(サスティナビリティ)社会の実現に向けて、SDGsの考え方と化学工学という視点から、具体的な目標を定めていくことも大事になると思います。このように、化学工学は、他の分野と連携することにより、よりいっそうの飛躍が望めます。

このような苦難な時に寄せて、十分な意は尽くせませんが、「ピンチなときにこそ、変革のチャンスあり」と考えれば、新たな産業の芽が生まれる可能性があります。既成の価値観にとらわれず、新しい価値観を生み出す化学工学となりますよう、心から期待しています。